皆さん、最近「SaaS」というワードをよく耳にしませんか?聞いたことはあるけど、詳しいことはわからない、そんな方も多いのではないでしょうか。
今回は、SaaSについてわかりやすく、特徴やサービスの代表例、メリット・デメリット、類似語との違いを解説していきます。デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代社会で、知っておいて損はない「SaaS」について、この記事を読み終わる時には、より深く理解できるようになっているでしょう。ぜひ最後までご覧ください!
▼ 関連記事 ▼
SaaSとは、「Software as a Service」の略称で、「サービスとして提供されるソフトウェア」という意味です。インターネット経由でソフトウェアを利用するクラウドサービスの一形態で、SaaSの読み方は「サース/サーズ」と読みます。
元々ソフトウェアはCD-ROMなどの形でパッケージ化して販売され、そのCD-ROMを購入した後に、PCにインストールしてソフトウェアを使用する形でした。
一方SaaSは、クラウドサービス事業者がソフトウェアを稼働し、そこへユーザーがインターネット経由でアクセスすることで、利用できる仕組みです。つまりインターネットに接続するだけで、クラウド上のソフトウェアをいつでもどこでも利用できるようになり、インストールや複雑な設定が不要となりました。
また、利用契約をしたらすぐに使用可能で、サービス料金は無料のものから有料の月額・年間サブスクリプション型のものがあり、初期投資のコストをかけずに気軽に多くの人が利用できるようになりました。
SaaSとよく混同されるのが、Webアプリです。以下でその違いを比較していきます。
・SaaS
特定のニーズに応じたソフトウェアサービスを提供する形態です。ソフトウェアがクラウド上に保管されており、ユーザーはインターネットに接続してそのソフトウェアを利用します。主に顧客関係管理(CRM)、人事管理、プロジェクト管理などのビジネス向けのソフトウェアサービスが一般的です。
例:Googleドライブ、Microsoft365、Dropbox など
・Webアプリ
より広範な種類のアプリケーションを含む、Web上で動作するアプリケーション全般を指します。Webアプリはサーバー上に保管され、ユーザーがアクセスする際にデータや機能を提供します。Webアプリはビジネス用途だけでなく、SNSやオンラインショッピングなど多岐に渡る用途で使用されています。
例:Twitter、Instagram など
▼ 関連記事 ▼
ここではSaaSの機能をご紹介します。
・インストールや設定の手間がなく、すぐに利用可能
SaaSはクラウドベースのサービスであり、ユーザーはソフトウェアのインストールや環境設定の手間を省くことが可能です。Webブラウザを開いてログインするだけで、すぐに利用を開始できます。
・インターネットがあればどこでも使える
SaaSはインターネットを介して提供されるため、ユーザーはインターネット環境がある場所であればどこでも、自宅、オフィス、カフェなど場所を選ばずにアクセス可能です。
・多様なデバイスからアクセス可能
ユーザーが利用するパソコン、スマートフォン、タブレットなどのデバイスに制約を受けず、柔軟に利用することができます。
・手間をかけずに最新の機能を利用可能
ソフトウェアのメンテナンスやアップデートが提供者側で行われるため、ユーザー自身でソフトウェアアップデートを行う必要がなく、常に最新の機能を使用でき、セキュリティ面でも安心して使用することができます。
様々なスタートアップ企業が開発に取り組んでいるSaaSですが、まずはその背景にどんな歴史があるのかを振り返っていきます。
〈 1990年代 〉
インターネットの普及が進み、インターネットを経由してソフトウェアを提供する企業やサービスを指す、ASP(Application Service Provider)の概念が広まりました。ASPとは自分のコンピュータにソフトウェアをインストールせずに、インターネット上で使えるソフトウェアを指す概念で、SaaSの起源ともいえます。
しかし、当時はインターネットの接続速度やセキュリティの課題があり、ASPの普及はまだ限定的でした。
また、この時期、企業は自社でソフトウェアを開発・保守することが一般的でしたが、ASPはクラウド上にソフトウェアを管理し、顧客に対してアプリケーションを提供する新たなビジネスモデルとなりました。顧客が自社でソフトウェアを購入し、導入・管理・保守する必要がなくなることで、利便性とコスト削減のメリットをもたらしました。
▼
〈 2000年代 〉
2006年頃からはインターネットの普及と技術の進化により、ASPからSaaSという用語がより一般的に使われるようになりました。SaaSは以前のASPという考え方を進化させた、利便性が高く、柔軟性のあるビジネスとして注目されるようになりました。
この時期、大手IT企業や新興のベンダーやスタートアップ企業がSaaS開発に取り組み、様々な業界で利用されるようになった。
▼
〈 2010年代 〉
2010年代に入ると、モバイルデバイスの普及とクラウド技術の進化により、オンライン上でソフトウェアやサービスを提供する需要が増え、SaaSの需要が一層拡大しました。
モバイルファーストのアプローチが強調され、SaaSプロバイダーはユーザーがモバイルデバイスで利用しやすいようにアプリケーションを最適化しました。
▼
〈 2020年代 〉
2020年代に入ると、DX推進と新型コロナウイルス流行によるリモートワークの普及により、SaaSの需要がさらに加速しました。
また、AIやビッグデータの技術との組み合わせにより、SaaSはより高度な機能や予測能力を提供するようになりました。
このようにSaaSはサービスの利用者側/提供側の両者にとって、ビジネスにおいて重要な役割を果たしています。そして、提供企業は安定的な収益を見込むことができ、成長の機会が広がっています。
ここで、SaaSのメリットをまとめていきます。
・収益の持続性と拡張性
・導入コストが抑えられる
・シンプルな導入と利用
・メンテナンスの負担軽減
・充実したサービス
SaaSの多くは月間や年間のサブスクリプション型で提供されているため、企業にとって継続した収益となります。また、ユーザーにとっても導入コストを抑えることができます。
また、SaaSはクラウドベースのサービスであるため、インストールやセットアップが簡単で、アップデートもユーザー自身で行う必要もありません。さらに、サポートまで充実しているサービスが多く、安心して利用することができます。
ソフトウェアの在り方に大きな変化をもたらしたSaaSには、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
・インターネット接続への依存
・不正アクセスを受ける可能性などのセキュリティリスク
・カスタマイズの制約
SaaSはクラウドベースのサービスのため、インターネットへの接続が必ず必要になります。そのため、インターネットへ接続できない環境や、サービスメンテナンス時などは一切のサービスにアクセスができません。
またクラウド上にデータが保存されるため、不正アクセスを受ける可能性も否定できないため、セキュリティ対策は万全に行う必要があります。他にも、SaaSは汎用性を重視したサービスのため、ユーザーが自由にカスタマイズすることが難しい場合があります。
SaaSの代表的なサービス分類や、実際のサービス事例をいくつか挙げていきます。
【オフィス業務】
文書作成やデータ処理を行えるオフィス業務のサービスでは、複数人でリアルタイムの共同作業が可能です。
例:Microsoft 365、Google Workspace
【コミュニケーション】
チャットやビデオ会議、ファイル共有などが可能なコミュニケーション向けのサービスは、リアルタイムでの情報共有を可能にし、会社内やチームでのコミュニケーションを円滑にします。
例:Slack、Microsoft Teams
【プロジェクト管理】
タスク管理、スケジュール管理、チームコミュニケーションなど、リアルタイムなプロジェクト全体の管理を実現します。
例:Asana、Trello
【デザイン/クリエイティブ】
グラフィックデザイン、イラストレーション、写真編集、動画制作などのクリエイティブ作業向けのサービスでは、デザイナー/クリエイター同士の共同作業のハードルを下げてくれます。クラウドストレージを活用することで、効率的に作業を進めることができます。
例:Adobe Creative Cloud、Canva
【カスタマーサポート】
顧客管理、チャットサポート、チケット管理などの機能を提供するSaaSツールは、顧客との円滑なコミュニケーションや効率的な問題解決を支援できます。
例:Zendesk
クラウドサービスにはPaaS、IaaS、BaaS、MaaSなど多くの種類が存在します。これは「as a service(アズ・ア・サービス)」と呼ばれ、ソフトウェアやサービスをクラウド上で提供するビジネスモデルの一つです。A〜Zまで存在するとも言われ、Xを当てはめると、XaaS(Anything as a Service)という、様々なサービスをクラウド上で提供する総称になります。
ユーザーはクラウド上で提供される様々なサービスの中から、その時に必要なものを選択し利用することで、柔軟性や拡張性を高めることができます。以下でいくつか代表的なものを紹介します。
・PaaS(Platform as a Service)
開発者がアプリケーションを作るために必要なプラットフォームを提供するサービスです。PaaSを使うと、開発者は自分でサーバーやデータベースを用意することなく、アプリケーションの開発に集中することができます。
例:AWS、Microsoft Azure、Google App Engine
・laaS(Infrastructure as a Service)
サーバーやストレージなどの仮想化されたインフラストラクチャ(基盤)を提供するサービスです。IaaSを利用すると、自分のサーバーやストレージを用意する手間を省くことができます。
例:Dropbox、IDCFクラウド
・BaaS(Banking as a Service または Blockchain as a Service)
Banking as a ServiceとしてのBaaSは、金融機関が提供するサービスをAPIを利用することで自社のサービスに組み込めるサービスです。これにより、もともと金融サービスを提供していない企業でも、決済などの金融系サービスを活用することができます。
▼ 関連記事 ▼
また、場合によってはBlockchain as a ServiceをBaaSと称することもあります。この場合のBaaSは、データの改ざんが行われない、正確な取引を実現する仕組みを指します。
▼ 関連記事 ▼
DXやテレワークはさらに進むと考えられており、SaaSは市場規模が大きくなり今後も成長し続け将来性があることが期待されています。
・AIとの融合
AIによる自動化やデータ分析の活用によって、より効率的なサービスや予測能力の高い機能を提供することが可能になると期待されています。
・モバイルファーストのアプローチ
モバイルデバイスの普及やテレワークの増加の影響を受け、SaaSもモバイルファーストのアプローチを取り入れ、ユーザーに柔軟性と利便性を提供することで、需要の拡大が見込まれます。
・業界や垂直市場の発展
SaaSは様々な業界や垂直市場に適用されることが可能です。特定の業界や市場に特化したSaaSサービスが増えることで、ニーズに合ったソリューションが提供され、市場の成長が期待できます。
・セキュリティとプライバシーの強化
セキュリティとプライバシーの重要性がますます高まる中、SaaSサービスは安全性とデータ保護の強化に取り組んでいます。信頼性の高いセキュリティ対策やプライバシー保護の仕組みを提供することで、企業やユーザーは安心してSaaSを利用できると予想できます。
ここまでSaaSの特徴やサービスの代表例、メリット・デメリット、将来性ついて解説してきました。
DXやテレワークの普及により、SaaSに需要はますます高まり、市場規模が拡大すると予想されます。
導入コストが抑えられているため、導入ハードルが低く、すでに多くの企業でSaaSの導入が進んでいます。さらに、SaaSを新たに開発する企業も増えており、今後も業務効率化や作業簡略化を目指す新しいサービスが生まれ、成長を続けるでしょう。
JIITAKではSaaS開発の支援だけでなく、様々なプロダクト開発も行っております。開発を検討している方はぜひ、JIITAKのサービスページもご覧ください。デジタル分野の専門チームが、アイデアの創出から戦略設計、開発、スケールまでの包括的な支援でプロジェクトを成功へと導きます。ぜひご相談ください!