人工知能(AI)は、コードの生成からデプロイメントまで、ソフトウェア開発のあらゆる領域に急速な変革をもたらし、作業の効率化、生産性の向上、エラーの削減を実現しています。
特にAIの強みであるデータ分析やパターン認識の能力は、瞬時に気づき得たり解決策を見つけたりするための重要な手助けとなります。AIの進化とともに、ソフトウェア開発への影響力はますます大きくなり、今後のテクノロジーやイノベーションをリードしていくでしょう。
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AIは味方か、敵か。AIの歴史とシンギュラリティから考える
AIは、人間の知能に関わる認知機能、例えば知覚や推論などを人工的に再現する技術の総称です。
ソフトウェア開発では、要件定義や設計、開発、テスト、保守など、様々な工程でAIが活用されています。AIを活用することで、反復作業を自動化し、ソフトウェアの品質向上やユーザー体験の改善することができます。
例えば、要件定義の段階では、AIを使ってユーザーのフィードバックを分析し、実装すべき重要な機能を洗い出すことができます。また、設計の段階では、AIがユーザーの要望に基づいたモックアップやプロトタイプを、自動で生成することも可能です。このように、AIの活用範囲は日々広がっています。
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【DevOps】開発部門と運用部門の連携で、スピーディーなシステム開発を実現
ここでは、今後特に注目されている、ソフトウェア開発におけるAIの未来予測をご紹介します。
【開発効率のこれまで以上の向上】
開発者の作業効率が向上し、ソフトウェアのリリーススピードが早くなることは、これまでも注目されてきたトピックですが、今後さらにその動きが加速すると予想されています。
Gartnerによると、2026年までにソフトウェア開発組織の80%が、再利用可能なサービスやコンポーネント、ツールを提供する内部チームを設置すると予想されています。これにより、AIソフトウェア開発者は、すぐに使える部品を活用して、より効率的な開発を進めることができるようになります。
これから、企業が競争力を維持・強化していくためには、自社のニーズを満した内製プラットフォームを構築できる、柔軟な開発体制を持つパートナー企業のサポートが重要になるでしょう。
【AIによるコーディングの変化】
ノーコードやローコード開発プラットフォームの進化、そしてAIの活用により、将来的には「人がコードを書く」という行為は徐々に減っていくかもしれません。その代わりに、AIにソフトウェアの作り方を教える役割へシフトしていくと言われています。
つまり、「プログラマーが自ら手を動かす時代」から、「自動化アルゴリズムに指示を与える時代」へと進化していくと予測されています。
【チャットボットの進化】
高度なAIアルゴリズムを活用したチャットボットは、日に日に回答の精度が向上しており、カスタマーサポートの自動化手段として多くの企業で導入が進んでいます。
中でも、ChatGPTは、人とやり取りしているような自然な会話が話題となり、今後もGPT-4などの進化により、カスタマーサポートの自動化をさらに後押ししていくでしょう。
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【AI as a Service(AlaaS)】
AlaaS(AI as a Service)は、自社でインフラを構築・運用することなく、クラウドを通じてAIのツールやサービスを利用できる仕組みです。
インフラへの大きな投資を行うことなく、AIを自社のソフトウェアに簡単に組み込むことができるため、このようなAIソフトウェア開発の形態は、今後さらに一般化していくと考えられています。
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【拡張型開発(Augmented Development)】
拡張型開発とは、AIによるコードの自動生成、スマートなコードレビュー、予測分析などを通じて、開発者の業務を支援する仕組みです。
すでに多くのAIソフトウェア開発企業がこの手法を取り入れており、AIはソフトウェア開発プロセスに欠かせない存在になりつつあります。
【説明可能なAI(Explainable AI)】
説明可能なAI(XAI)は、AIの判断プロセスを人間が理解できるように説明できるAI技術のことです。AIのブラックボックス化を解消し、透明性・信頼性を高めるために注目されています。
【自律型システム(Autonomous Systems)】
自律型システムとは、人間の介入なしに、AI手動で技術的な作業を行えるシステムのことです。将来的には、自動運転車、ドローン、ロボティクスといった技術がさらに高度化すると考えられています。
【サイバー免疫(Cyber Immunity)】
サイバー犯罪のリスクが高まる中、システムやユーザーを守るためには、これまで以上に新しいセキュリティ手法が求められており、ここでもAI技術が注目されています。
AIの活用によって実現が期待されているのが、「サイバー免疫」と呼ばれる包括的なセキュリティアプローチです。このアプローチには、可観測性、自動テスト、機械学習、カオスエンジニアリング、自動復旧、信頼性エンジニアリング、ソフトウェアサプライチェーンのセキュリティなど様々な手法が組み合わされ、プロダクトやサービスの耐障害性(レジリエンス)が大きく向上します。
さらに、Apple、Google、Microsoftといった大手テック企業が導入を進めている「パスキー(passkey)」の普及も追い風となり、AIを活用した開発は、パスワードに依存しない新しいサイバーセキュリティの時代を切り拓いていくかもしれません。