近年、スマートフォンの普及とともにSNSやゲーム、ネットショッピングなどといったスマホアプリの種類も増加し、使わない日はないほど日常に溶け込んでいます。
しかし、アプリが世に出るまでにどのような過程を経てリリースされているのか知っていますか?
モバイルアプリ開発を検討しているけど情報がなく、なかなかモバイルアプリ開発に踏み出せないでこのブログに辿り着いた方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、モバイルアプリ開発を実際に行う際に知っておくべき基本を解説していきます。開発を検討しているけどどのように開発していくか分からない方は、ぜひ参考にしてください。
モバイルアプリとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに直接インストールすることで動作するアプリのことを指します。
開発の段階よりもっと前段階のモバイルアプリとは?という基本的な知識を知りたい方は、過去のブログ記事『モバイルアプリとは?今さら聞けない基本から開発、事例まで解説』をあわせて読んでいただくことで理解が深まるかと思います。ぜひご覧ください。
スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスに直接インストールすることで動作するモバイルアプリは、デバイスの機能(カメラ、GPS、通知など)に直接アクセスできることで、各プラットフォームの機能を最大限に活用できるのが特徴です。
スマートフォンが急速に普及していく中で、必然的にモバイルアプリも一気に世間に浸透しました。Webアプリでは実現が難しかった世界観や機能を、モバイルアプリならではの手軽にどこに居ても利用が可能で、液晶をタップする直感的な操作感などを活かし実現してきました。以下成功したモバイルアプリ例を見てみましょう。
・ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
ユーザーとその友達や家族が繋がり、写真やメッセージを共有するためのプラットフォーム
代表例:Facebook、Instagram、Twitter
・エンターテイメントアプリ
映画、テレビ番組、音楽、ポッドキャストなどのコンテンツを提供する
代表例:Netflix、YouTube、Spotify
・ゲームアプリ
アクション、パズル、アドベンチャーなどの様々なジャンルのゲーム体験を提供する
代表例:Pokémon GO、Candy Crush Saga、Fortnite
・メッセージング
テキスト・音声メッセージ、写真、ビデオなどを送受信するためのプラットフォーム
代表例:WhatsApp、Facebook Messenger、LINE
・ナビゲーション
目的地へのルートや交通情報、施設検索など、地図やGPSを活用した機能が備わっている
代表例:Google Maps、Apple Maps、Waze
モバイルアプリ開発には様々なアプローチの方法が存在しています。プロジェクトの内容、目標、予算、期間、人数、技術など様々な面を考慮し、どの開発アプローチや種類が良いか適切な選択することが重要です。ここではいくつかの代表的な開発アプローチをご紹介します。
ウォーターフォール開発
開発プロセス全体を複数工程に分割し、要件定義▶︎基本設計▶︎詳細設計▶︎開発▶︎テスト▶︎リリースの順で進行する手法。分割した工程を上から順に行う様子を滝に見立ててその名が付いた。
・メリット:進行状況の可視化、ドキュメンテーション向き
・デメリット:変更対応が難しい、顧客とのコミュニケーション不足が起こる場合がある
アジャイル開発
柔軟で反応性の高い手法で、短い反復を通じて要件の洗練と機能の実装を進める。
・メリット:顧客との継続的なコミュニケーション、フレキシブルな変更対応可能
・デメリット:制約の厳しいスケジュール、要求の明確化が難しい場合がある
スパイラル開発
プロトタイプを作成し、評価を行い、要件の洗練と機能の追加を反復的に行う手法。
・メリット:リスクの最小化、変更に対する柔軟性
・デメリット:複雑性が増すことがある、時間とリソースの管理が難しい
ラピッドアプリケーション開発
ノーコード/ローコードツール(コーディングを行わない/わずかなコーディングでアプリ開発できるサービスプラットフォーム)を使用し、迅速にアプリケーションを開発する手法。
・メリット:開発速度の向上、柔軟なアプリケーション開発
・デメリット:機能制約、高度なカスタマイズの難しさ
DevOps開発
Development(開発)とOperations(運用)を組み合わせた造語で、開発担当と運用担当が緊密に連携することでスピーディーに開発する手法。
・メリット:自動化されたプロセス、迅速なデプロイメント
・デメリット:技術的な課題や学習コスト、文化的な変革の必要性
ここではモバイルアプリとWebアプリそれぞれの違いについて説明します。JIITAKでの開発事例紹介のページでもモバイルアプリ開発とWebアプリ開発について詳しく紹介してますので、ぜひそちらもご覧ください。
開発とデプロイ
・モバイルアプリ:アプリストアへの申請・承認プロセスを経て、規則や審査基準に従う必要がある。
・Webアプリ:アプリストアの審査不要。
プラットホーム
・モバイルアプリ:iOSやAndroidなどのプラットフォームに依存して開発され、アプリをインストールする必要がある。
・Webアプリ:GoogleやSafariなどのブラウザの中で動作し、特定のプラットフォームに依存しない。
ユーザーインターフェース
・モバイルアプリ:タッチ操作が主要な入力手段となるため、タップ、スワイプ、ピンチイン/アウトなどのジェスチャーに対応する必要がある。
・Webアプリケーション:主にマウスやキーボードを使用する。
オフライン対応可否
・モバイルアプリ:一部オフライン利用可能のものあり。
・Webアプリ:ブラウザを介すため、基本的にオンラインでのみ利用可能。
ハードウェアへのアクセス可否
・モバイルアプリ:プラットフォーム自体がカメラ、GPS、指紋認証、通知機能、加速度センサーなどの様々な高性能のハードウェアで構成されている。Webほど厳しい制限がないためこのような機能を使用することができる。
・Webアプリ:セキュリティ制限により、ハードウェアへの直接的なアクセスが制限されている。しかし、その制限を解除するような技術も開発されている。例としては、ブラウザ間でのリアルタイムなオーディオ、ビデオ、データの通信を可能にするオープンなフレームワークの「WebRCT(Web Real-Time Communication)」が挙げられ、ネイティブアプリケーションのインストールなしで、ブラウザ上でリアルタイムなコミュニケーションを実現することができる。
開発アプローチの方法次第で変わる部分もありますが、一般的な開発の流れは大きく分けて下記の通りです。各フェーズにはプロジェクトマネージャーやエンジニア、デザイナーなどそれぞれの専門の技術を持った人材が入ります。詳しい内容については冒頭でもお話しした、過去のブログを読んでいただくと、より理解が深めれるかと思います。
企画・要件定義
何が課題で何を実現したいのか、どのようなアプリを開発したいのか、ターゲットは誰なのかなどを洗い出す、アプリ開発において最も重要なフェーズ。あわせて予算、必要機能、技術、スケジュール・納期、必要な人員(工数)、実装手順などを明確にする。
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基本設計(外部設計)
要件定義に基づき、アプリの操作画面などの「見た目・デザイン=UI(ユーザーインターフェース)」を設計する。ユーザーストーリー、ワイヤーフレームの作成を行い、カラースキーム、アイコン、画像、フォントなどのデザインを作る。
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詳細設計(内部設計)
アプリの「中身(機能・動作)」に関する設計。開発言語、サーバー・データベース、APIとの連携など技術的な要素を中心に検討・設計される。
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開発(コーディング/プログラミング)
今までの工程(要件定義と基本・詳細設計)で決定した仕様に沿って、開発者がプログラミング言語を使用して開発を行う。
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テスト・検収
開発したアプリの納品前にテストし不具合を修正しながら、ユーザーのフィードバックを収集し、改善点を特定する。あわせてクライアントや関係者との検収作業と品質検証も行う。
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審査・リリース
モバイルアプリの場合、リリースに際して審査が入る。iOSとAndroidで審査やリリースの手順が異なるため注意が必要。最終的に各プラットフォームのストアにてアプリ配信が行われ、誰でもインストールして使える状態になる。ちなみに審査に関しては以下のような内容の確認が行われている。
・機能とパフォーマンス:正常に動作し、ユーザーにとって使いやすい機能か、クラッシュやバグがないか
・デザインとユーザー体験:UIが使いやすく直感的で、一貫性があるか
・セキュリティとプライバシー:適切なセキュリティ対策を講じているか、ユーザーのプライバシーを尊重しているか
・コンテンツと法的な制約:著作権や商標の権利を尊重しているか、不適切なコンテンツや暴力的なコンテンツはないか
・プラットフォームのガイドライン:プラットフォームごとに異なるガイドラインやポリシーに準拠しているか
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運用・保守
リリース後、予期せぬ不具合や改善が必要な箇所が発生することもあるため、アプリは開発後もメンテナンスし続ける必要がある。
以前Webアプリケーションについての記事でも紹介しましたが、開発費の計算方法として、人件費(人月×人月単位×開発期間)+諸経費が多く用いられます。なお、プロジェクトの内容により開発費用は異なります。聞きなれない単位もあるかと思うので解説していきます。
・人月:エンジニア、プログラマーなどの開発に必要な1ヶ月間の人員
・人月単位:人員1人が1ヶ月作業した場合の費用(SEのスキルで金額の変動がある)
・開発期間:開発・リリースまでに要する期間
また、諸経費の内訳はデザイン費用(UI/UXデザインやグラフィックデザイン)、サーバー・ドメイン代、ツール・ソフトウェア代、保守運用費などです。
続いてモバイルアプリの開発相場です。機能数やアプリの規模感により振れ幅があるため一概には言えませんが、以下で目安の金額を示していきます。
・ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
→ 相場幅: 500万円〜8,000万円以上
・オンラインショッピングアプリ
→ 相場幅: 200万円〜1000万円以上
・デリバリーアプリ
→ 相場幅: 800万円〜1,500万円以上
・メッセージングアプリ
→ 相場幅: 300万円〜500万円以上
・マップアプリ
→ 相場幅: 500万円〜1,000万円以上
モバイルアプリ開発を成功させるためには、ユーザーのニーズを汲み取り、利用意欲が湧くようなプロダクト開発を進めれるか?また、適切な開発会社を選択しているか?など、様々な点を考慮しなければなりません。ここではモバイルアプリ開発を成功に近づけるために気をつけたい点をご紹介します。
開発プロセスと品質管理
・ユーザーニーズとアプリ開発の理解:ユーザーのニーズを理解し、それに合わせたアプリの設計と開発を行う
・適切なモバイルアプリ開発会社の選択:開発会社のポートフォリオや開発者のスキルセットを評価し、優れた技術力と経験を持つ信頼できるパートナーを選ぶ
・バグやパフォーマンスの修正・改善:開発中およびリリース後に発生する可能性のあるバグやパフォーマンスの問題を修正し、品質管理を行う
セキュリティとプライバシー
・セキュリティ対策:ユーザーの個人情報や機密データを適切に保護するために、セキュリティ対策を十分に行う
・リリース後のユーザーからのフィードバック:ユーザーからの報告を迅速に対応し、セキュリティに関連する問題や脆弱性を修正する
ビジネス戦略とコミュニケーション
・コンセプト設計と戦略:アプリの目的、ターゲットユーザー、収益モデルなどを明確にする
・通知やリマインダー:アプリ価値向上のためユーザーエンゲージメントを意識、通知やリマインダー機能を活用する
現在モバイル端末の市場はiOSとAndroidのが主要なシェアを占めており、アプリ開発をする際には両方のプラットフォームに対応することが推奨されます。しかし、あまりに多くの機能を追加しようとすると、開発費がかさんでしまう可能性があります。そのため、開発の目的を見失わずに、ユーザーのニーズを反映させることが重要です。そんなモバイルアプリ開発の費用を抑えるためのコツをここでご紹介します。
クロスプラットフォーム開発
クロスプラットフォームとは、1つのコードで複数のプラットフォーム(iOSやAndroidなど)向けのアプリを開発できるフレームワークです。開発チームを1つにできるため、管理やアップデートも一元管理できるようになり、開発効率向上とともにアプリ開発コストや保守コストの削減が見込めます。代表的な技術例としては、FlutterやReact Nativeが挙げられます。FlutterはDartというプログラミング言語を使用し、美しいユーザーインターフェースをスピーデーしに提供します(JIITAKでのFlutter開発・UI /UXデザインもぜご覧ください)
MVP開発
MVP開発とは「Minimum Viable Product」の略で、製品やサービスの可能な限り最低限の機能を備えた最初のバージョンを素早く開発する手法です。あれもこれもと機能を追加していくと費用がかさんでしまうため、実用最小限の機能で顧客の反応と市場ニーズを確認しながら改善と拡張を繰り返し、無駄の少ない開発していくことで、開発時間と開発コストを最小限に抑えることができます。
以上がモバイルアプリ開発における種類や費用、開発の流れになります。スマートフォンの普及とともにますます必要不可欠になっているモバイルアプリについて、各企業でも自社サービスの提供をモバイルアプリで検討している企業も増加傾向にあります。なかなか開発に踏み出せないでこのブログに辿り着いた方がもしいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご相談下さい!
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